徳洲会肺がんキャンサーボード ASCOのジャーナルへ論文
2019年(平成31年)4月29日 │ 徳洲新聞 No.1182 1面
徳洲会肺がんキャンサーボード ASCOのジャーナルへ論文
より質の高い肺がん診療を提供するため、徳洲会呼吸器部会が中心となって立ち上げ、運営している「徳洲会肺がんキャンサーボード」の取り組みや成果をまとめた論文が、米国臨床腫瘍学会(ASCO=American Society of Clinical Oncology)が発行する『JCO CCI』(Journal of Clinical Oncology Clinical Cancer Informatics)という世界的に著名なオンラインジャーナルに掲載された。筆頭著者は宇治徳洲会病院(京都府)の竹田隆之・呼吸器内科部長(現・京都第二赤十字病院呼吸器内科部長)。数多くある掲載論文中、4月に最も多く閲覧された論文となるなど国際的にも高い注目を集めている。
治療結果の改善など国際的に注目
「スケールメリットを生かした診療支援の取り組み
として肺がんキャンサーボードを開始しました」
と竹田部長
論文タイトルは「Multidisciplinary Lung Cancer Tumor Board Connecting Eight General Hospital in Japan via a High-Security Communication Line」(セキュリティの高い通信回線で日本の8施設の総合病院をつないで運営する集学的な肺がんキャンサーボード)。共同研究者として、このキャンサーボードに参加する八尾徳洲会総合病院(大阪府)、千葉西総合病院、大隅鹿屋病院(鹿児島県)、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)、名古屋徳洲会総合病院の医師が名を連ねた。
キャンサーボードは複数の診療科の医師や多職種が参加し、がん患者さんの最適な治療方針を決定する会議。徳洲会グループは2017年4月に呼吸器部会の主導により、セキュリティの強固なWEB回線を用い、複数施設が診療録や検査画像などをリアルタイムに共有しながら検討する「肺がんキャンサーボード」をスタート。毎週火曜日の夕刻以降に1時間ほど、治療方針の決定に難渋した症例を中心に検討している。
論文ではキャンサーボードの必要性や遠隔地の病院同士を結んで開催する意義、徳洲会肺がんキャンサーボード立ち上げの経緯や具体的な運営方法、さらに、これまでの検討結果の集計データなどを紹介している。
17年4月から18年6月までの15カ月間で63回開催し、合計202人の患者さんについて検討を行った。年齢の中央値は70歳、男性136人、女性66人。原発性肺がんや悪性リンパ腫、胸腺がん、転移性肺がん、隣接臓器からの局所浸潤がんなど、さまざまな症例を含む。
キャンサーボードで検討した結果、202人のうち49人の患者さんに関して、当初と異なる診断・治療戦略を推奨した。これにより複数施設をつないで開催するキャンサーボードは、「がん患者さんと医療スタッフの双方にとって有益」、「治療が難しい患者さんに関して多様な専門科の意見を得ることができる」、「治療結果の改善に寄与する情報や提案を得ることができる」などとメリットを強調している。
竹田部長は「それぞれ離れた場所にある病院を通信回線でつないで運営するキャンサーボードの取り組みは、本邦では他にほとんど例がなく先進的なものです。それを民間病院グループが成し遂げ、毎週1回、定期的に開催して200件を超える討議を続けていること、実際に各病院の患者さんたちに恩恵がもたらされていることなど意義は大きいと感じています」と話している。